平成28年1月27日、行政書士(大阪府行政書士会所属)が司法書士法違反

平成28年1月27日に、司法書士法違反容疑により行政書士がまた逮捕となりました。

平成28年1月27日、行政書士(大阪府行政書士会所属)が司法書士法違反容疑により逮捕されました。

報道によれば、容疑の概要は、当該行政書士が、外国人に長期の在留資格を得 させるため、司法書士の資格が必要な会社の法人登記の申請を無資格で行った というものです。また、その会社の実体はなく、不法に在留資格を得させること が目的だったと伝えられております。

行政書士は、国民の皆様の信頼に応えるべく、誠実に業務を遂行する責務を担 っているところですが、当該行政書士の行為は、その信頼を著しく損ねるものであり、当該行政書士による行為を当会としても重く受け止めています。

また、関係者及び国民の皆様にご迷惑やご心配をおかけしましたことに対し、 深くお詫びを申し上げます。

隣接法律専門職の一つである行政書士には、高度な職業倫理に基づく公正か つ誠実な職務遂行が求められています。このため、当会及び各都道府県行政書士会において倫理研修やコンプライアンス研修が実施されており、行政書士の高 度な職業倫理の確立のための努力を継続しているところです。

また、出入国管理及び難民認定法施行規則に基づいて申請の取次業務を行う 行政書士に対しては、当会及び各都道府県行政書士会は申請取次行政書士管理 委員会を設置し、法令順守の徹底を指導してきております。

当会としては、今回の事件を重く受け止め、再発防止に努めてまいる所存です。 また、社会的責任を有する隣接法律専門職として、国民の皆様の信頼を取り戻すべく、さらなる努力を重ねてまいりますので、行政書士制度に対する一層のご理解を申し上げます。

参照元:【会長談話】司法書士法違反容疑での行政書士の逮捕に関して

司法書士の資格がないにもかかわらず会社登記の申請書を作成したとして、京都府警は27日午前、司法書士法違反容疑で、大阪市中央区の行政書士事務所を家宅捜索。同容疑で、事務所を経営する行政書士、山末晋也容疑者(35)=大阪府在住=を逮捕した。山末容疑者はエステ店などで働く中国人女性をペーパーカンパニーの「経営者」に据えることで、長期滞在が可能な在留資格を得させていたとみられる。

捜査関係者によると、山末容疑者は平成26年ごろ、司法書士の資格が必要な会社登記の申請書の作成を、30代の中国人女性らの依頼を受けて無資格で行った疑いが持たれている。

府警によると、昨年9月、京都市右京区のエステ店で働いていたこの中国人女性を風営法違反容疑で逮捕したことをきっかけに事件が発覚。不法に在留資格を得ようとする中国人らの間で、「会社登記の申請をしてもらえれば、長期滞在できる在留資格を得ることができる」という話が広がっていたという。

逮捕された中国人女性は会社経営者などが日本に長期滞在(1年間)できる「投資・経営」の在留資格を持っていた。府警は、山末容疑者が会社登記などを通じて複数の外国人に長期の在留資格を取得させていた可能性もあるとみて調べている。

参照元:在留目的で会社登記の疑い大阪の行政書士逮捕

中国人に在留資格を得させる目的で会社登記の申請書を無資格で作成したとして、司法書士法違反容疑で行政書士の山末晋也容疑者(35)が逮捕された事件で、山末容疑者が「違法な会社登記の申請を1千件ぐらいやった」と供述していることが27日、京都府警への取材で分かった。府警は、風俗店などで働く中国人女性の不法就労の温床になっていた疑いがあるとみて詳しい実態を調べる。

府警によると、山末容疑者は、平成17年に行政書士の資格を取得。18年ごろから在留資格を得ようとする中国人らからの会社登記の依頼を受けていたという。

山末容疑者は、容疑を認め、「もうかると思ってやり始めた。業務の大半が違法な登記申請だった」などと供述しているという。

府警によると、1件あたり35万円の手数料を受け取り、実際の登記手続きにかかる費用20万円を除く15万円の利益をあげていた。

22年6月ごろから255件に上る違法な手続きを行い、少なくとも約9千万円の収益を得ていたとみられる。府警は、外国人に在留資格を取得させる目的で違法な会社登記を繰り返していた疑いがあるとみて調べている。

参照元:「1千件ぐらいやった」逮捕の35歳行政書士が供述 登記申請書を無資格で作成 京都府警

以上は、日本行政書士会のHPと、産経WEST様HPより引用しましたが、こうした事例があとを絶ちません。

さて、行政書士が違法に行う法人登記の申請とは、ほとんどが株式会社設立または合同会社設立の登記申請のようです。(合併や分割など複雑な登記はさすがに行わないようです。)

なぜ行政書士違反者が出るのか?

ややこしいですが、行政書士は会社設立のための「定款認証」までしか行えません。

「定款認証」の後に行う、「設立登記申請」は、行うことができないのです。

そして、司法書士法においては、登記を業として行いたいのであれば、試験に合格して所属会に登録すればいいという法律になっております。

しかし、これを守らない行政書士が多いという現実は、大変遺憾に思います。

ほんの一部の行政書士が違反しているだけと思いたいのですが、これだけ逮捕者が出ている現状を鑑みると、これから先も違法行政書士が出てくると思われます。

これで果たして「街の法律家」と名乗っていいのでしょうか?日本行政書士会は、早急に対策を練り、実践すべきと思いますが。

ただし、農地転用許可申請など、行政書士の職務を、ブローカーや測量士、土地家屋調査士が侵食している事実もありますので、モラルの低い一部の士業のために、業界全体が迷惑している現状ともいえるでしょう。

2 Responses to “平成28年1月27日、行政書士(大阪府行政書士会所属)が司法書士法違反”

  1. てるてる坊主 より:

    東大阪では行政書士が司法書士を雇用してます。
    これって司法書士法違反では?

    • s-law より:

      司法書士会に登録している司法書士が、司法書士として行政書士に雇用されることはありません。司法書士は独立して業務を行わなければならないためです。

      この点、単に司法書士有資格者を「企業内法務担当(司法書士有資格者)」として雇用することは問題ありません。

      また、司法書士以外にダブルワークとして、行政書士の補助者として勤務しているのであれば、問題はありません。

      しかし、行政書士事務所として司法書士費用の請求は行えませんので、もし行政書士が司法書士を雇用して登記費用を「売上として」受領していた場合は、違反になると思います。

      この点、司法書士費用の請求書を当該司法書士が別途行った上で、単に合算して「預り金」や「立替金」として請求していた場合は、違反にならないと思います。

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