“滅失登記”をしないリスクと売却・税金への影響を解説
建物を取り壊して更地にした後、登記の手続きをしていないというケース、実は意外と多いのです。
しかし、「建物を壊した=手続き完了」ではありません。
登記上も「建物がない状態」にする必要があること、ご存じでしたか?

滅失登記とは?
「滅失(めっしつ)登記」とは、建物を解体したあとに、法務局へその建物が存在しなくなったことを正式に届け出る登記手続きのことをいいます。
不動産登記簿には建物がまだ存在していると記録され続けるため、解体後にそのまま放置しておくと「実際には建物がないのに、登記上は残っている」という不整合が生じてしまいます。
滅失登記を行うことで、登記簿から建物が削除され、土地だけの状態に正しく修正されます。これは土地を売却したり、新しく建物を建てたりする際に必ず必要となる重要な手続きです。
また、滅失登記を怠ったままだと、売買契約や融資の際に手続きが進められないなどのトラブルにつながる可能性があります。
つまり、建物を取り壊した後には、必ず「滅失登記」を行い、法務局に正しく申請することが、不動産管理の基本であり義務なのです。
✔︎ 法的な義務です!

建物を取り壊した後には、必ず「滅失登記」を行わなければなりません。
これは単なる推奨事項ではなく、不動産登記法第57条により明確に定められた法的な義務です。
具体的には、建物の所有者は解体後 1ヶ月以内 に法務局へ「滅失登記申請」をしなければならないとされています。
登記をしないとどうなる?
建物を壊しても滅失登記をしないまま放置してしまうと、登記簿上では「建物がまだ存在している」と記録され続けることになります。
つまり、実際には更地になっているのに、法務局の記録には「建物あり」と残ってしまうのです
その結果、こんなトラブルに:
リスク | 内容 |
---|---|
🏠 不動産売却がスムーズに進まない | 登記簿に古い建物が残っていると、買主に不信感を与えたり、手続きが複雑に |
💸 固定資産税が余計にかかることも | 解体済みでも建物があると見なされるため、税金の誤課税が起こることも |
⛔ 相続や登記変更が止まる | 古い建物登記が残っていると、名義変更や相続登記が進められない場合も |

このように、滅失登記は「やらなくてもいい手続き」ではなく、法律上の義務であり、怠ることで不動産の売却・利用・相続に大きな悪影響を及ぼすリスクがあるのです。
したがって、建物を取り壊した後は、必ず法務局に滅失登記を申請し、不動産登記簿を正しい状態にしておくことが必要不可欠です。
滅失登記の手続き方法と必要書類
【基本の流れ】

- 建物解体工事の完了
▶︎ 解体業者から「取壊し証明書」を取得 - 土地家屋調査士に依頼(または本人申請)
▶︎ 建物の位置・構造・所有者確認などを行う - 管轄法務局に申請書類を提出
- 1〜2週間で登記簿から建物記載が抹消
【主な必要書類】
- 滅失登記申請書
- 解体業者発行の取壊し証明書
- 解体前の建物登記簿謄本
- 所有者の本人確認書類
- 委任状(代理申請の場合)
👉詳しくは法務局のHPをご確認ください。
滅失登記にかかる費用は?
- 登録免許税:非課税(登記に対して税金はかかりません)
- 土地家屋調査士への報酬:3万〜6万円程度が相場
🏠 更地売却を予定しているなら要注意!
建物を解体したあとに滅失登記をしないまま放置していると、いざ土地を売却しようとした際に大きなトラブルにつながります。
例えば、登記簿上は「建物が残っている」と記録されているのに、現地は更地になっている状態。
この不一致を買主に指摘されると、「管理がずさんな土地なのでは?」と信頼を損ね、契約そのものがスムーズに進まなくなります。
さらに、住宅ローンや事業用ローンを組む場合にも、金融機関の審査で「登記簿と現況が一致していない」と判断され、融資手続きがストップしてしまうケースが実際に多く報告されています。

また、売却の直前になって慌てて滅失登記を進めようとすると、解体証明書の取得や法務局への申請に時間がかかり、売買契約のスケジュールに大きな遅れを生じる恐れがあります。
つまり、最悪の場合、買主が契約を取りやめてしまう可能性すらあるのです。
このようなリスクを避けるためには、建物を取り壊したら必ず速やかに滅失登記を済ませ、登記簿を現況に合わせておくことが不可欠です。
特に更地売却を予定している場合は、解体後すぐに登記手続きを終えておくことで、買主からの信頼を得やすくなり、金融機関の審査もスムーズに進みます。
結果として、売却活動を安全かつスピーディーに進められるのです。
▶ 解体が終わったら、売却前に必ず滅失登記を済ませておくのがベストです。

よくあるQ&A
Q. 解体から何年も経っていても、今から滅失登記できますか?
はい、可能です。
建物を解体してから数年が経過していても、後から滅失登記を申請することは認められています。
ただし、注意点として「取り壊し証明書」の取得が難しくなる場合があります。解体直後であれば業者が発行した証明書をそのまま利用できますが、時間が経つと解体業者が廃業していたり、当時の資料が残っていなかったりすることもあります。
その場合は、現地調査を行い「実際に建物が存在しないこと」を証明する必要があり、余計な手間や時間がかかってしまうのです。
さらに、法務局の審査でも「なぜ長期間放置していたのか」という点を確認される可能性があります。そのため、解体から時間が経つほど登記手続きが複雑化するリスクが高まるため、できるだけ早めに滅失登記を申請することが望ましいです。
Q. 自分で登記できますか?
できます。
建物の所有者本人が必要書類を準備して法務局へ直接申請することは可能です。
ただし、実際には 申請書の作成・添付書類の準備・登記簿や図面との整合性確認 など、専門的な知識を要する作業が多く含まれます。
書類に不備があると法務局で申請が受理されず、何度も足を運ぶ必要が出てしまうことも珍しくありません。さらに、建物の位置や構造などを正しく記載するには、土地家屋調査士の専門的な判断が必要になるケースもあります。
そのため、手続きを確実かつスムーズに進めたい場合には、土地家屋調査士や司法書士に依頼するのが安心です。専門家に依頼すれば、必要書類の手配や法務局とのやりとりも代行してくれるため、時間と労力を大幅に削減できます。
つまり、費用はかかりますが、「売却を控えている」「融資に使いたい」「相続登記と同時に進めたい」といった場合は、専門家へ依頼するメリットは非常に大きいでしょう。
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